台湾独立をめぐる友人との「論争」(1)

 友人と久しぶりに酒を酌み交わす機会があった。たわいない話をするうちに、話題は台湾の問題に及んだ。お互いリベラル派とうぬぼれている。政治の話になることは珍しくない。大方はこの面でもウマがあっている。
 ところが今回はいけない。ちっともかみ合わないのだ。彼は「中国は台湾の独立をどうして認めないの。あれだけ台湾の人々が独立を求めているのに」という。私の話し下手もあって彼は私の意見にはとうてい納得しがたい様子。 

よくよく考えてみると、彼のような考えは今の日本のほとんどすべて人のものかもしれない。台湾の独立を認めない中国を擁護するかのような私の意見は非常識に近いものかもしれない。私の気持ちは落ち着かない。

   台湾の問題は、当然いずれゆっくりこのブログでも取り上げるつもりでいたが、もやもやした気持ちのこの時点で、とりあえず大雑把にでも整理してみたい。自分なりには納得しているが、はたしてどこまで説得力があるのか。

  私も台湾の人々が独立を望むならそれが適えられたらいいと思う。応援したい気持ちさえある。それが簡単にはいかないのだ。

  台湾の独立とは「独立宣言」することだけではない。まずアメリカ、日本その他国際社会がその独立を「承認」して「国交樹立」することがなければ実現したとはいえない。この二つがなければ「独立宣言」は絵に描いた餅にすぎない。

  言い換えれば、台湾が独立するということは国際的に「二つの中国」を認めるということである。これまでのアメリカ、日本など国際社会は「一つの中国」しか認めてこず、中国のいう「一国二制度」を容認してきた。その外交方針を改めるということである。

  他方、中国は建国以来「一つの中国」を国是としている。台湾を自らの領土の一部だとし、それを「核心的利益」としてきた。当然台湾の独立を許そうとはしない。理由をつけるとすれば「大事な国土人民の一部だ、これを失うことの損害は計り知れない」ということになろうか。

  そこで友人の不審だ。「過去はともかく、時代が変ってきて、台湾の人々の独立志向が高まっている。いつまでもこれを抑え込む中国の態度は専制支配そのものではないか、独立を妨害するまともな理由はない」というのであろう。 

 (a)たしかに、中国側の国家経済的そろばん勘定では人々を納得させることはできない。人よりお金を大事に考えている! (明日につづく

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