台湾問題・柳澤氏らの提言をめぐって(2)
台湾独立と戦争回避
隠居老人は、柳澤さんらの「提言」にほぼ全面的に賛同するが、中国に対して不信を抱いている多くの国民に、はたして説得的かと考えてしまう。
まず、統一願望の中国の側に有利に傾き、台湾の人々の独立の願いに冷たすぎないかとの疑問があろう。もっともである。
だが、現実政治の世界は、台湾人民の独立志向に寄り添って動こうとすれば、中国の武力による抵抗を招くことが必至である。アメリカが阻止しようとすれば悲惨な世界的戦争の危機に至る、そういう現実がある。
「中国がけしからん」と非難しても、歴史的背景のあるその統一願望を撤回させることはまずできない(本ブログ11/10付(1)(2))。ならば、台湾人民を救うために中国に鉄槌を下すか、それこそ世界戦争への道である。
自分たちだけでなく世界の人民に悲惨な被害をもたらす戦争という結果予想を前に、台湾人民は独立を本当に求めるであろうか。世界はその悲惨な結果を甘受してまで独立を支持するのが「正しい」ことなのであろうか。
提言が「『米中戦争をいかに回避するか』は…台湾を含むすべての関係者にとって最大の課題である」とするのは、「戦争回避」が「台湾独立」に優先することを述べていると理解できる。そのうえで、台湾人民の独立の希望は、将来の「中国と台湾自身の選択の問題」として「後世の知恵」に委ねるほかはないと、提言は「冷静」に言っているのだ。
私たちは、台湾の人民に、独立を将来のひとつの夢としておき、今の生活の充実に努めてほしいと願うほかはないのではないだろうか。
また、香港のいわゆる「人権弾圧」が始まってから、中国が香港で示した強気の姿勢は、台湾に対して今にも侵攻し、「二制度」を廃止のうえ大陸と同じような統治を始めるのではと懸念する向きもある。(明日につづく 2/3)
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