ある中国人学者の描く中国の将来(2)
中国三千年の歴史は、統一と分裂、被侵略と反撃の繰り返しであった。とくに近代200年は、西欧からの侵略にはじまり、その反撃のなかで内戦が頻発し、その内戦を利用するさらなる西欧・日本の侵食・侵略・・・中国は半死半生までに衰退させられた。
ようやく中国共産党という強力な指導力が誕生し、後半の100年をかけて苦難に満ちた革命をついに成功させ、その独立と統一と平和と繁栄を回復させた。気がついてみれば、14億の民を抱え巨大な領土を擁する新しき超大国が誕生し、これまでの王者の西欧世界と対峙するまでに至っているのだ。
そして、大きすぎる国の新たな苦難と挑戦が始まっているのである。
広大な領土と巨大な人口は、ここに複数の政治意見が競い合うシステムを一気に導入すれば、経済的、階級的、地域的、文化的、宗教的さまざまな違いから、人の分派、国土の分割を招き、そこに外国からの干渉も加わって、中国の一体性を維持することすなわち統一を保つことは困難となることはまちがいない。分裂の道に逆戻りである。
中国指導部は、だからこそ、共産党による独裁体制による強力な統制力でもって統一を維持しようとする。その巨大な領土と人口は、西欧の歴史とは違った道を歩まざるを得ない、とするのである。
中国人民は、資本主義経済により生活が豊かになったのであるから、もっと「幸せ」になるためにさらなる「自由」を求めるのが人の常だと思われる。にもかかわらず、人々は多少の「不自由」はあっても、現在の共産党による国家指導体制に満足している(不満をもつ少数はどこの世界にもいる)。
貧困から解放されようとする現在は、強力な共産党指導部による巨大な統一国家運営のおかげである、その「功績」による幸せを今かみしめているのであろう。少なくとも、体制変革を求める目立つ動きはない。
コメント
コメントを投稿