ある中国人学者の描く中国の将来(1)
年末年頭にあたり、希望のもてる話題を書きたい。
朱建榮氏は日本の大学で政治学などの教鞭をとっている中国人学者である。在日歴は長く、日本人研究者らとの共同研究もあって、その率直な評論に注目する人は少なくない。その朱建榮氏が編者として今年8月に出版した本の中に、次の一文を見つけた。
「今後の10年、20年以内に、中間層が全人口の過半数を占め、「権利意識」が大半の中国人の「普遍的価値観」になった時点で、中国の民衆は、若者を先導に、必ず民主化(もちろん欧米型体制と一致するとは限らない)を目指していくであろう。それが現体制とバッティングした場合、とういう結果が予想されるか。正直言って、変数と可能性があまりにも多い。しかし一つ言えるのは、中国共産党指導部もオピニオンリーダーも民衆も、正面衝突で国が分裂し、内戦に陥るようなハードランディングの道は絶対に避けたいことだ。すなわち、対立各方面の妥協、歩み寄りがもっとも可能性がある。これは、現政権がこれまでの路線を大幅に修正することも意味する。」(「加速する中国 岐路に立つ日本」(花伝社)227p、赤字は老人)
この意見は、対決派と共存派、中国観を大きく違える日本人のどちらからみても、意外であって驚くに値するものであるまいか。
① 民主化への歩みが必然であるかのようにみる点、
②
民主化をめぐり内戦の可能性まであるとする点、
③ 共産党政権がこの民主化の要求に妥協する可能性が強いとする点などで 。
このような意見は、「統制強化」を進めているかにみえる現在の中国首脳部にはどのように映るであろうか。歓迎していないかもしれない。朱建榮氏の立場を危うくするのではないか、との危惧する向きもあるかもしれない・・・。
その点はともかくとして、隠居老人は、朱建榮氏の将来の展望に「そうあってほしい」と願う一人である。ただ、さまざまな困難な課題がありそうである。
そのあたりを隠居老人の「明るい中国未来仮説」として考えてみたい。(明日につづく 1/3)
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