台湾問題を歴史から考える(1)(「論争」の仕切り直し)
「中国はどうして台湾の独立を認めようとしないの」との非難のこもった疑問に答えようとして始めたこのエッセイ。新たな資料を得てあれこれ考えながら過ごしてきた。ただ、台湾をめぐる大きな国際問題をわずかな時間で「分かった」などと簡単に言えるわけはない。以下は隠居老人が少し理解できたかなと思う、いわば中間報告みたいなものである。友人への回答はおそらくこの中にひそんでいると思われる。
その「共存の模索」と「米中対立」の二つの本をベースにして戦後のアメリカと中国との台湾をめぐる対立と交渉の歴史をふりかえってみたい。思い切って要約し平明に説明するため自己流で三つの時代区分に分けてみた。①「米台同盟期」、②「米中平穏期=「一国二制度」期」、③「米中対立期」として。
1 米台同盟期(1945年~1971年ころ)
戦後、台湾が日本の植民地支配から解放されて蒋介石の中華民国に返還された時期からニクソン訪中による米中国交正常化が始まるころまでの時期、アメリカと台湾とが同盟関係にあった時期である。
日本の中国侵略に対して、蒋介石の国民党と毛沢東の共産党は「抗日統一戦線」を組んで共同して戦った。だが、日本に勝利した後、両者は大陸の支配権をめぐって内戦となり、毛沢東側がこれに勝利し、1949年「中華人民共和国」(中国)の樹立を宣言して大陸の支配権を握った。蒋介石側は台湾に逃れたが、そこで中華民国を継続し、アメリカはじめ各国との国交を維持し、また国連代表権の地位も保持し続けた。蒋介石は大陸への反攻の機をうかがい、これをとりもどし、元の大「中華民国」復活の野心を持ち続けた。(明日につづく 1/5)
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