何かが大きく狂いはじめた! 中国念頭の衆院人権決議
たいへん大きな影響をもつ決議が昨日衆議院でなされた。それも野党を含めた圧倒的多数のもとに。
中国におけるウイグル人問題に対する非難を念頭においた人権決議。
大げさな言葉でこの決議の非をなじりたいが、正直言ってこわい! 大政翼賛会的ムードがただよいかけている。周りのみんながこの老人を攻撃してくるのではあるまいか。
ウイグル人権問題が国会決議に値するほど国際的に非難されるべき非違行為なのか。十分に証明されているのか。井戸端会議での悪口とはちがうのだ。
中国政府のウイグル問題に対する弁明(イスラム原理主義テロ勢力との闘いなど)は考慮に値しないものなのか
2 次に対中国外交に支障をきたさないか、その点を考えたのか
公明党幹部によると、中国という名前、「人権侵害」や「非難決議」の文言を省いたのは、「中国と外交問題になってはいけない」との配慮からだそうだが、ウイグルなどの地名をあげて深刻な人権状況の懸念を指摘している以上、子供だましのような話ではないか。
現に中国側はさっそく、外務省談話として日本に厳正に抗議し、報復措置の検討にも言及したという。そうなるのは当然だ。ボケかけた頭の隠居老人でさえも十分に予想のつく事態である。
衆議院が外交問題にならないと考えていたとすれば、国家の命運を握る機関として、何と浅薄で情けない判断であろうか。(むしろ多数派は、喧嘩になることが分かってやろうとしたのであろう)。
岸田内閣は、中国とのあいだに「建設的かつ安定的な関係の構築を目指す」と所信表明をしたばかりである。衆議院が挙げてこの方針を妨害しようとしていることにほかならない。(岸田首相が「主張すべきことは主張する」と述べたのは今回の決議のような形ではなく、政府間の対話の中で中国のためをも思う友人として、苦言を述べ改善を促す方法であったはずである。それでなければ両国の建設的安定的関係など築けない)。
3 さらに、一番こわいのは
決議がれいわ新選組と一部議員をのぞき野党を含めた圧倒的多数でなされた点である。
中国を非難する空気は、国会をも支配し尽そうとしている。波風の立つまもなく。
安全保障にかかわりかねない外交問題だけに、さまざまな意見が交錯し慎重かつ冷静な審議がなされるべき国会で、討議がほとんどなく、形式をめぐり政党間の取引がなされた程度で、あっというまに全会一致に近い多数を糾合したのだ。しかも、立憲民主党、共産党もこれに和し、共産党にいたっては、維新の会と同じく、中国の名前をいれない点でなまぬるいかのような意見を述べているとのこと!
絶望的思いにかられるのは、隠居老人の頭がボケかけたせいであろうか。
ある評論家が昨年の秋に述べた意見を思い出す。
「一方、日米安保の変質と軍事力増強に、野党は反対の声をまったく挙げない。2014~2015年の安保法制反対運動は何だったのか。いまや台湾関与にも「ダンマリ」を決め込む。「中国の脅威」は、大制翼賛会の現代版になってしまった。安全保障とは、共通の敵を作り軍事的に包囲することではない。外交努力で地域の「安定」を確立し、手付かず状態の対中外交を本格始動しなければならない」。(共同通信客員論説委員・岡田充「週刊金曜日」21.11.5号42頁 赤字は老人)
今回の国会決議が尖閣列島の東京都購入方針を打ちだし両国間の紛争のきっかけを作った石原慎太郎氏の死去の日とかさなったのも、なにかの縁であろうか。 (了)
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